時間割作成ガイド:塾・スクールで重複のない授業計画を組む
塾・語学スクールの時間割作成を手順で解説します。講師・教室・クラスの重複を防ぐ方法、休憩時間の取り方、変更の伝え方まで実務に沿ってまとめました。
時間割作成とは、講座、講師の空き時間、教室、クラス、学期の日程をもとに、すべての授業に曜日と時間、担当講師、教室、クラスを割り当て、重複のない週間スケジュールにまとめる作業です。確実に作るコツは、先に制約条件をすべて集め、動かしにくい授業から配置し、講師・教室・クラスの3つの視点で下書きを確認してから、全員が見る一つの場所で公開することです。
要点まとめ
- 時間割の質は入力情報で決まります。学期の日程、講師の空き時間、教室、クラスの事情は、最初のコマを置く前に書面で確定しましょう。
- 制約の多い授業から配置し、柔軟に動かせる授業は最後に埋めます。
- 下書きは講師別・教室別・クラス別に確認します。多くの重複は、どれか一つの視点でしか見えません。
- 正本は一つに絞り、授業の間に余裕を持たせ、変更はいつも同じ手順・同じ経路で伝えます。
時間割作成の前に集める情報
カレンダーや表計算ソフトを開く前に、次の5種類の情報を集めます。この段階の情報不足が、学期が始まって2週間で時間割を組み直すことになる一番の原因です。
講座・レベル・週のコマ数
講座の一覧ではなく、実際に開講するクラスの一覧を作ります。語学スクールなら「英会話B1」という一つの講座を、平日昼・平日夜・土曜の3クラスで運営することもあります。クラスごとに週の授業時間、1コマの長さ、週の回数(90分を週2回、3時間を週1回など)を書き出します。
講師の空き時間
講師には、授業ができる時間、できれば避けたい時間、できない時間を書面で出してもらいます。非常勤講師や掛け持ちの講師は枠が狭く固定されていることが多いため、早めに確認します。1日の最大コマ数や昼休憩など、勤務上の条件も控えておきましょう。
教室
教室ごとに定員と設備(プロジェクター、リスニング用のスピーカー、パソコン、ホワイトボード、段差のない動線など)を記録します。オンラインのクラスでは会議リンクが「教室」です。定員の問題はありませんが、その時間に講師が必要な点は変わりません。
受講生の実際の生活リズム
受講生が本当に通える時間を考えます。小中高生は放課後や部活動の後、社会人は平日夜や週末、企業研修は就業時間内を希望することが多いでしょう。一般英語と英検対策のように2つの講座を取る受講生がいるなら、両方を同じ時間帯に置いてはいけません。
学期の日程と休日
学期の開始日と終了日、祝日、受講生が児童・生徒なら学校の長期休み、ゴールデンウィークや年末年始の休校日を先に確定し、クラスごとの授業回数を数えます。日本では月曜日の祝日が多いため、月曜クラスは週の半ばのクラスより休講が増えがちです。振替授業の扱いは早めに決めておきましょう。
週間時間割を組む8つのステップ
情報がそろえば、時間割作成は一度に解くパズルではなく、順に進める判断の連続になります。ここでは、講師6名・教室3つ・14クラスで、平日の午後と夜、土曜の午前に開講している架空の語学スクールを例にします。
- 枠を作る:開講時間を曜日ごとのコマに分けます。たとえば90分授業と15分の休憩です。
- 固定の授業を先に置く:企業研修で契約した時間、火曜夜しか来られない講師、パソコン教室が必要なクラスなど、動かせない授業から置きます。
- 制約の多いクラスを次に置く:通える時間帯が狭い小中学生や夜だけの社会人クラス、空き時間の少ない講師を、柔軟なクラスより先に配置します。
- 同じクラスの授業を週内に分散させる:月曜と火曜より月曜と水曜のほうが学習に効果的で、宿題に取り組む時間も確保できます。
- 柔軟な授業で残りを埋める:個別レッスンや時間に融通のきく少人数クラスを、空いたコマに入れます。
- 3つの視点で重複を確認する:講師別・教室別・クラス別に下書きを確認します(次の章で説明します)。
- 講師と下書きを見直す:講師陣に共有し、短い締め切りを設けて修正を受け付けます。通勤の都合で16時開始が無理だといった、事務局からは見えない問題に講師は気づきます。
- 確定して公開する:これ以降は正当な理由がない限り変更しない日を決め、一か所で公開します。4月開講の学期なら、3月の募集期間中に公開できるのが理想です。
あえて空けておくコマもいくつか残しましょう。振替授業、レベル分けテスト、学期途中に開講する新クラスで必要になります。
時間割の重複を防ぐ方法
時間割のトラブルは、ほぼ次の3種類に分けられます。どれも適切な視点で見ればすぐに分かり、別の視点では見落としがちです。
講師の重複
同じ講師が同じ時間に2つの授業に入っている、校舎間の移動時間がない、契約した時間を超えている、といったケースです。一人の講師が複数の講座を担当していると、講座ごとの時間割はどれも問題なく見えるため、最も起こりやすい重複です。授業を追加する前に、編集中の講座だけでなく、その講師の1週間全体を確認しましょう。
教室の重複
2つのクラスが同じ時間に同じ教室に入っている、16人のクラスが10人用の教室に割り当てられている、といったケースです。教室ごとの表を作るか、少なくともすべての授業に教室名を付け、人数の多いクラスから大きい教室に割り当てます。
クラスの重複
2つのクラスに所属する受講生が同じ時間に両方に呼ばれている、受講生が通えない時間帯にクラスが置かれている、といったケースです。一緒に受講されることの多い講座の組み合わせを一覧にし、別の時間帯に置きます。
主な制約条件と、無視した場合のリスク、対処法を表にまとめました。
| 制約条件 | 無視した場合のリスク | 対処法 |
|---|---|---|
| 講師の空き時間(非常勤・掛け持ち) | 講師が来られない時間に授業が入り、休講が増える | 計画前に書面で集め、こうした講師を先に配置し、学期ごとに再確認する |
| 一人の講師が複数講座を担当 | 講座をまたいだダブルブッキング | 授業を追加・変更する前に、その講師の週間スケジュール全体を確認する |
| 教室の定員と設備 | クラスが入りきらない、必要な音響やプロジェクターがない | 定員と設備を記した教室一覧を作り、人数の多いクラスから割り当てる |
| 共用の教室 | 同じ時間に2クラスが同じ教室に入る | 教室ごとの表を基準にし、すべての授業に教室名を付ける |
| 複数講座を受講する受講生 | どちらかの授業を選ばざるを得なくなる | よくある講座の組み合わせを一覧にし、別の時間帯に置く |
| 受講生の生活リズム | 出席率の低下と早期の退会 | 学校・仕事・通勤の時間に合わせてコマを設定し、入会時に希望の時間帯を聞く |
| 祝日・長期休み | 授業が減り、クラスごとに回数がばらつく | 学年暦に休日を先に書き込み、学期開始前に振替日を決める |
| 講師の負担 | 疲労、授業の質の低下、体調不良による欠勤の増加 | 1日の最大コマ数を決め、長い授業の間に休憩を入れる |
休憩時間と現実的な授業の長さ
すべての授業が時間どおりに終わる前提の時間割は、うまく回りません。余裕は意図して組み込みます。
- 同じ教室の授業の間:10〜15分あれば、前のクラスの退出、次のクラスの入室、講師の準備ができます。これがないと、すべての授業が遅れて始まります。
- 同じ講師の授業の間:最低でも短い休憩を取り、校舎間の移動や対面からオンラインへの切り替えがある場合は長めに取ります。
- オンライン授業の前:講師が数分早く会議を開き、音声を確認して受講生を迎え入れる時間を見込みます。
- 1日全体:連続授業を長く続けないようにします。90分授業を休憩なしで4コマ続ければ、最後の授業の質は目に見えて下がります。
年齢に合った授業の長さも大切です。小学生は短い授業のほうが集中しやすく、集中講座の社会人なら途中に休憩を挟めば長めの授業にも対応できます。
講師の負担は授業時間だけではありません。準備、採点、連絡にも時間がかかり、それを無視した時間割は仕事を夜に押しやります。負担を抑える方法は講師の業務効率化の記事で紹介しています。
時間割の公開と変更の伝え方
時間割はできるだけ早く、理想的には学期の申し込みが締め切られる前に公開し、受講生が自分の生活に合うクラスを選べるようにします。大きな一覧表を探させるのではなく、受講生には自分のクラスの時間割を、講師には自分の1週間を見せるのが基本です。
変更への対応
講師の急病、教室が使えない、少人数クラスの統合など、変更は必ず起こります。変更は2種類に分けて扱います。
- 一時的な変更:休講、代講、その日だけの教室変更など。できるだけ早く知らせ、何で補うのか、振替日はいつかを伝えます。
- 恒久的な変更:クラスの曜日や時間の変更など。小さなプロジェクトとして扱い、3つの視点で重複を再確認し、決める前に対象の受講生と話し、新しい時間に来られない人には別の選択肢を示します。
どの変更でも順番は同じです。まず時間割を更新し、次にいつもの連絡経路で関係者に知らせ、何が・いつから変わり・何をすればよいかを明確に伝えます。更新より先に連絡すると、受講生は異なる2つの版を目にすることになります。受講生が未成年なら、保護者にも知らせましょう。
教育訓練給付制度の対象講座や助成金を使う研修などを運営している場合は、所管機関に時間割の提出や変更の届出が必要かどうかを確認してください。これは一般的な情報であり、法的助言ではありません。
時間割の正本を一つにする
最も高くつく時間割のミスは、計画の失敗よりも、版が複数あることから生まれます。事務室の表計算ファイル、教室のドアの貼り紙、LINEグループのスクリーンショット、講師それぞれのカレンダー。一つだけが更新されてほかが古いままだと、受講生は間違った時間に来てしまいます。
- 一つのシステムを正本と決め、ほかの表示はすべてその写しにして、別の版を作らないようにします。
- 編集権限は担当者一人か少人数のチームに限り、ほかの人は閲覧のみにします。
- 印刷する場合は日付を入れ、変更のたびに貼り替えます。
- 何を・いつ・なぜ変えたかを簡単な変更履歴に残します。問い合わせ対応、請求、次の学期の計画に役立ちます。
学期ごとに時間割を見直す
学期の終わりには、データを振り返ります。時間帯別の出席率を見れば、どのコマが受講生に合っているかが分かります。金曜夜の出席率がいつも低いなら、やる気だけでなく時間割の問題でもあります。講座ごとの出席率の出し方は出欠管理のガイドで解説しています。講師にもうまくいかなかった時間帯を聞き、次の下書きに反映しましょう。
Zolinexでできる時間割管理
Zolinexでは、講座ごとに毎週繰り返す授業スケジュールを登録します。曜日と開始・終了時刻を指定し、必要に応じて教室名をテキストで付けられます。同じ講座内で時間が重なる授業は登録できません。講師は週間スケジュール画面で自分の1週間を、受講生は受講中の講座の時間割を確認でき、全員が個人カレンダーを使えます。変更は講座チャット、ダイレクトメッセージ、システム内メールで伝えられ、アプリ内のリアルタイム通知とメール通知も届きます。一方、講座をまたいだ講師の重複の検出と教室の定員管理には対応していないため、この2点は担当者が確認します。授業を追加する前に、管理者のカレンダー(すべての講座の授業が表示されます)でその講師が担当するほかの講座を確認し、教室の割り当て表を併用してください。詳しくは機能一覧をご覧ください。
うまく回る時間割は、高度なソフトウェアよりも手順で決まります。制約を集め、難しい授業から置き、すべての視点で確認し、変更は一か所だけで行う。これを毎学期続ければ、時間割作成は毎回の危機ではなく、決まった業務になります。
よくある質問
時間割作成とは何ですか?
時間割作成とは、各クラスに毎週の曜日と時間、担当講師、教室または会議リンクを割り当て、講師・教室・クラスのどれも重複しないようにする作業です。講師の空き時間、教室の定員、受講生の都合、学期の日程といった情報を集めることから始まり、講師と受講生が学期を通して頼れる時間割を公開して完了します。
塾やスクールの時間割はどうやって作ればよいですか?
まず学期の日程と休日を確定し、クラスごとの週の授業時間を一覧にします。講師の空き時間を書面で集め、教室の定員と設備を記録します。動かせない授業と制約の多い授業を先に置き、残りを柔軟な授業で埋めます。下書きを講師別・教室別・クラス別に確認し、講師と見直してから、全員が見る一か所で公開します。
講師や教室のダブルブッキングを防ぐにはどうすればよいですか?
下書きを講師ごとの1週間、教室ごとの表、クラスごとの授業の3つの視点で確認します。多くの重複は、このうち一つの視点でしか見えないためです。授業を追加・変更する前には、編集中の講座だけでなくその講師の週間スケジュール全体を確認し、すべての授業に教室名を付けて重複を見つけやすくしましょう。
授業と授業の間の休憩は何分あればよいですか?
同じ教室で続く授業の間は10〜15分を目安にすると実用的です。前のクラスの退出、次のクラスの入室、講師の準備ができ、授業を時間どおりに始められます。校舎間を移動する講師や、対面からオンライン授業に切り替える講師には、さらに長い休憩が必要です。休憩のない連続授業が長く続く組み方は避けましょう。
時間割の変更は受講生にどう伝えればよいですか?
まず時間割を更新し、そのあとでいつも使っている連絡経路から関係者全員に知らせます。こうすれば異なる版が出回りません。何が・いつから変わり、受講生が何をすればよいかを明確に伝えます。休講などの一時的な変更は振替日と合わせてできるだけ早く知らせ、曜日や時間の恒久的な変更は、決める前にクラスと相談しましょう。